悪ノリ★リレー!第十五話:「拝啓ダメ息子様。」

はぁん、よっさんかっこいい……
正門の手前から、歩きながら毎朝こうしてサッカー部の朝練を眺めるのが私の幸せ。今日もかっこいいなぁよっさん!
「あっひーらぎっちゃ〜!!おはよー!!」
昭栄がぶんぶんと手を振ってくる。あらら、今日は何だかご機嫌だ。仲直りしたばっかりだから?もしかしてカズさんと何かいいことあったのかな?ふふ!
なんて考えながら手を振り返して、ついでにカズさんにも。カズさんは照れ屋だから、恥ずかしいことすんな!と睨んで来るだけ。いつものことだけどね…。
あ。
よっさんと目が合った。こんなの初めてだよー!!どきどきしつつ頭を下げたら、ちょっと笑ってくれた。いいいいやーーー心臓止まる!!!(落ち着け)
あぁ幸せ。それもこれも佐倉様のおかげ…ありがたいなぁ。何かお礼しないと、ていうか昭栄はちゃんとお礼言ったのかな?
ちょうどそのとき、佐倉様から来たメールを読んで、私はある決心をした。

だからね、昭栄。いくらカズさんをとられちゃ嫌だからって、お世話になった人にお礼も言わないっていうのはどうかと思うの。
「だ、だってー!あん人バリ怖かやった!俺睨まれたっちゃもん!!」
どうせ昭栄が余計なこと言ったんでしょ?
「うぅ…ばってん俺……」
もー、ほんとにしょうがない子だよね。何ていうのかな、昭栄のお母さんの気持ちわかるな。可愛いけど、ちょっとねぇ…。
佐倉様はよっさんと私のお友達だよ?昭栄は仲良くしてくれないの?昭栄のこと親友だと思ってたのに……
しゅんと下を向いて見せたら、昭栄が慌てて私の手をとった。
「わ、わかったと!柊がそげん言うならもう邪魔とかせんけん!!約束すっと!!」
指切りをして(ねぇ昭栄いくつなの私たち…)私の顔色をうかがう昭栄に、にこっと笑って手を出した。
じゃあ、この前昭栄が誘ってくれた動物園のチケット出してv
「え、なし…?ま、まさか!!!」
ぴんぽーん♪遊園地のお返しに佐倉様に行ってもらおうよ!ちょうど三枚、佐倉様とよっさんとカズさん。わぁーぴったり!!
「い、嫌ったい!!これは俺が柊とカズさんと行くために貰ったやつやもん!!」
佐倉様は譲ってくれたのに昭栄はできないんだー?えー、昭栄ってそんなちっちゃあ〜〜い男だったっけー?幻滅ー。
「うぅう……!!;」
昭栄は葛藤しながらもチケットを手放そうとしない。ほんとにもう。ため息をついて鞄から財布を取り出して探る私に、昭栄は不思議そうに首をかしげた。
「え、これは……?」
差し出したのは映画の割引券。話題のサスペンスドラマの映画版。ほんとはカズさんが観たいって言ってたからあげるつもりだっんだけど、まぁいいか。
動物園の代わりに、私と映画観に行こうよ。せっかく仲直りしたんだし、昭栄と行きたいなー。
「お、俺??カズさんじゃなくて???」
む、なんでカズさん?
「だって柊、俺よりカズさんこつばっか好きで構うもん。俺ばいっつも二番目に誘うっちゃろ?」
まぁ。この子ったら意外とマザコンちゃん?ママンが構ってあげなかったから寂しかったのね…!
昭栄がいいなって言ってるんだから、昭栄がいいの!それとも私と映画は嫌…?
「嫌じゃなかよ!!ぜんっぜん嫌じゃなか!!」
じゃあそれとこれ交換ね?
「うん!!!……っあ゛」
うふふ、素直でいい子ですこと★


男に二言はない。カズさんの教えがよく行き届いた昭栄は渋々チケットを渡した。昼休み、昭栄と一緒にカズさんとよっさんを訪ねると、カズさんがなぜか楽しそうに手招きをする。
「おぉ、丁度よかとこに来たな。よかもん見せちゃーけん来んや。」
先輩の教室に入るなんて、ドキドキする。うっわー視線痛い。怖いなぁお姉様方;
何だろうと近寄って行くと、よっさんが必死にカズさんから何かを奪おうとしてる。…お弁当?ダメですよカズさん人の食べ物奪っちゃ…;
「違う!アホ犬じゃあるまいし…」
ついさっき私のお弁当のウインナーをつまんだ昭栄は何も言えず。
「それよか、ほら!愛妻弁当」
「だーっ違う!!カズいい加減にせろ!!」
「うわ、すごっ!!!バリうまそー!!」
あらま。よっさんの黒いシンプルなお弁当箱にはおいしそうなおかずがたくさん。彩り盛り付け栄養素、全て完璧!これもしかして…
「そのとーり。なぁお前らほんとに友達とや?こげんこつまでする友達おらんっちゃろ」
「せからしか!!知らん、これはあいつが勝手にやったんじゃ!!」
あはーん?お家に朝練のある時間に間に合うように上がりこんでですか?ふぅーん、へぇ〜?ねぇカズさんv
「柊、どげん思うと?これって友達にするレベルなん?女ってそげんもん?」
きゃっきゃっとよっさんをからかって遊ぶ私とカズさんに、よっさんは顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。か、可愛いです先輩!!(笑)
何となく複雑そうな昭栄の顔を見て、本題を思い出した。あんまり楽しくて忘れてたよ。いけないいけない。
「ん、なん?これ。こん前言ってた映画のか?よかよ、一緒に行くっちゃろ?確か次の休みは…」
あーっと!違うんです!!声を上げた私にカズさんは怪訝そうに眉根を寄せた。やばいなーこれは…昭栄と行くって言ったら機嫌悪くなりそう。黙ってようかな;
「なん……動物園?三枚??」
はい、カズさんとよっさんと佐倉様でどうぞー!って、昭栄がv
「……?ショーエイどげんこつや?」
「え、えぇと…あの、仲直りするんに、協力してもらったけん…お礼で。」
「それやったらヨシと二人で行けばよかやろ。邪魔すんのもな…」
うわ、カズさんてばよっさんのことからかいたくてしょうがないみたい。こういうとこ意外と子供なんだなぁ。まぁ仲がいいからこそだけど。
「…俺は行かん!!」
げ、機嫌そこねた!?よ、城光先輩そんなこと言わないで!!;
「そうですよ!!よっさん行かんかったらカズさんとあん人二人っきりやん!!!」
「え、いやさすがにそれは無理ったい。ヨシが行かんなら俺はもっと行けんっちゃろ;」
あぁんもう!そんなこと言わないで二人とも!!佐倉様が遊園地のチケットをどんな思いで譲ったと思います!?
「…それはもう断腸の、っちゃろーなぁ;」
「俺バリすごか剣幕で怒鳴られたとよ…」
そうでしょ!友情のために身を裂く思いで決心してくれた佐倉様に、恩返しするのは当然ですよね!?
「そ、そうやな。借りは返さんと…」
んもう、さすがカズさんいいこと言う!だ・か・ら・行って来てくださいネ★
「待て!!お前が返す借りばなし俺らが!?」
恩返しは相手の方に一番喜ばれるものを。これ基本。大丈夫ですよ、動物園には鳩はいませんから(知らないけど)
「な、そっ、そげんこつ言ってなか!!」
……仕方ない。これだけは使いたくなかったんだけど……。カズさん、よっさん!!
「「!?」」
往生際が、悪いデスヨ★(訳:つべこべ言わんとうんって言っとけ男っちゃろーがぁ!!!)
「「…………ハイ…………」」
うんうん、それでよし。ほんとに皆困ったちゃん★


おかんモード大プッシュ(笑)佐倉様、今度こそ昭栄は引き受けますので!!楽しんでくださいませ〜v