悪ノリ★リレー!第二十一話:「柊さん、混乱中。」

振り返るとそこには、少し驚いた顔でカズさんの走り去った廊下の先を見ているよっさん。
「あー…あいつはほんっとに……;悪か、どうせ拗ねとーだけやけん、気にせんでやってくれ。」
長々とため息をつくよっさんに、私は慌てて首を振った。そんな、よっさんが謝ることじゃないもん!
というか……よっさんはいいんですか?
「ん?よかって何が?」
だって、カズさんこれから……佐倉様とその、遊びに行くとか……。
だってこれってさー…多分デートとかって意味合いじゃないんだろうけど、気になるのは当然だと思うんだよね。なのによっさんは、困ったように眉を寄せた。
「……一応確認しとくばってん、俺と朱里は何もなかぞ?幼馴染ってだけで」
……(疑)そうかなー、どうかなー。
「どうもなにも……;だけん、別に俺がよかとか悪かとか言う問題じゃなかやろ。朱里もカズんこつバリ好いとーみたいやしな。」
何てことなさそうな表情だけど…何となく釈然としない感じ。心の底では、違うこと思ってるんじゃないかなぁ…私では踏み込めない領域で。
「まぁ、俺んこつはどうでもよか。それより柊さん、さすがに傷ついたっちゃろ?あいつ頭に血が上っとーとすぐやけんなぁ…」
あはは…まぁ否定はできないけど;というか、未だにあんまり状況が飲み込めてない。何であんな噂流れたんだろー;
首を捻る私に、よっさんはしばらくぽかんとして、疲労した声で言った。
「…あー…わかった。俺が知っとーこつば説明すっと。とりあえず家まで送って行くけん。」
めめめ滅相もありません!!!と辞退しようとしたときには、よっさんはすでに歩き出していた。


ふーん…とりあえず私と昭栄に決定的にズレたところがあったのは認めましょう。そうだよね、世間一般ではアレってデートだしあの会話は確かにソレっぽかったよね。
でもさー……私と昭栄だよ?確かにちょっとかっこいいなんて思ったけど、今考えるとあれって「あぁうちの子も立派な男になって…!」ってかんじだった気がするし。絶対ない可能性だと思うんだけど……。
「ほんとはな、前からそげん噂あったけん、そのせいもあったと思うと。二年の女子でタカとカズば二股かけとーのがおるとかいうんも聞いたこつあるし。」
んまぁ何てヒドい女なの!?信じられない!!誰ですかっ私仇とってきます!!!
「いや、だけんそれ自分のこつやって……」
…………あぁ。ひえぇええ!!!こえーっ世間の噂!!!(震)私ママンで後輩ってだけですからほんとに!!
「うん、まぁそうやろうなーって見てればわかるっちゃけど。」
世の中って何が起きるかわかんないものなんだなぁ…そうかー、それで一時期ものすごく女子からの目線が怖かったりしたんだ。今でも三年女子には睨まれるもんなー……。
……で、それはいいとして。何で私がカズさんに怒られたんでしょうか。どっちかって言うと二股疑惑の方がカズさんには不名誉な気がするんですけども…。
「……。柊さんってバリ鋭か人やって朱里が言っとったばってん、意外とニブかな…。」
に、にぶい……えぇまぁ運動神経は皆無ですけど、ってそういう意味じゃないですよねフフ…。
と、よっさんのその一言でヘコんだ瞬間、私は大切なことを思い出した。

…そういえばさー、昭栄ってカズさんが好きじゃん…?

私が端からありえないと思っているのは、それが前提だったからで。そうだよ、何で忘れてたんだろ!?当たり前すぎて頭から抜けきってた!!
ていうことはさ、カズさんが怒ったのも、つまりさ、そんなかんじでアレなかんじ?

あ、なんだーすっきりしたぁ。それはダメだよね、私が確かに悪かったよ。
ようやく気付いてうんうんと一人でうなずいていると、丁度我が家が目の前。ほんとに送ってもらっちゃった…よっさん色々ありがとうございます!!
「いや、よか……って、カ、ズ……?」
へ???振り返ると、迷彩帽の美形さん。おぉう確かにカズさんだ!!
「なし、ヨシがおると……」
いやそれこっちのセリフですから。とつっこみそうになった私の口を慌ててふさいで、よっさんはカズさんに笑ってみせた。
「俺はお前の代わりに柊さんば送って来ただけやけん。よかったな、柊さんも別に怒ってなかやと。後は二人で話せんや、な?」
「お、う…悪か。」
一瞬疑ったこととか、気を遣わせてしまったこととか。申し訳なさそうなカズさんの様子はさっきより落ち着いて、今なら話も聞いてくれそうだ。数歩近寄ってぺこっと頭を下げた私に、カズさんは少し驚いた顔。
カズさん、ごめんなさい!私やっとさっきわかったんです…私が悪かったなって。
「いや、その…俺も言い過ぎて」
ううん、そんなことないです!私こそ失礼なこと言って…ほんとはあんなこと思ってませんから。いつもサッカーに一生懸命なカズさんのこと、すごく好きです!!
「え…あ、おう…」
ほんとにごめんなさい…カズさんが怒るのも無理ないですよね。でも、あの噂はウソですから!完全にデタラメです!!
「……そうやな、そげんこつ言われんでもわかっとったはずっちゃのに、な。疑って悪かやった。」
安心して笑ったカズさんの顔はすごくすごくかっこよくて、思わず見惚れてしまった。カズさんがかっこいいのなんていつものことなのに、何だろう、何か変な感じ…。

不思議そうに私を呼ぶカズさんの声で我に返って、私は照れ隠しでにこっと笑ってみせた。
とにかく、私と昭栄が付き合うっていうのは、そうですねー、カズさんが花○君キャラ(例:Hey,ベイビーたち、何か悩み事かぁい?)になるくらいありえませんから!!
そんな姿を想像したのか、よっさんは噴き出して、カズさんは鳥肌を立てた。
「「そ、そうか。それは未来永劫ありえんな!」」
でしょう〜?だからカズさん、浮気なんてしないですから安心してくださいね!
「「……!?」」
「ちょ、待て柊!今のどげん意味…!?」
なぜか真っ赤になっているカズさん。んん…?あ、そうか!カズさん私が何も知らないと思ってるんだ。
大丈夫ですよ、私ちゃんと知ってますし、むしろ応援してますから!!
「「は?」」
でもでもー、皆水臭いですよぅ。よっさんも知ってたんですよね?そんなことになってるなら言ってくれてもいいのにー…あ、ニブいってそのことですか?
「……いや、待たんや。お前何の話ばしとーと?;」
宇宙人と会話してるみたいな表情の二人に、私は首をかしげた。

何のって、決まってるじゃないですか。カズさんと昭栄が付き合ってるって話でしょ?だから私にやきもち妬いて怒ってたんですよね!

ね?と見ると、二人はぽかーん、としか言いようのない表情をしていた。え、何?何で??
オロオロしていると、カズさんが更に顔を赤くして、

「……ふざっけんなこんアホんだろーーーー!!!」
鳴り響くほどの絶叫を残して、走り去ってしまいました。

え、何で!?何でですかよっさぁん!!?
「……いかん、俺頭痛くなってきた……」
手に負えませんとでも言うようにつぶやいて、そのまま無言でよっさんも帰っていく。


……え、ほんとに何でデスカ……???


わーいわーい腐女子モード〜(末期)一応夢路線で行くかんじにしてみましたけれども。私は夢も大好きです!
もうちょっと与を突っつくべきだったかなー;力及ばず、お許しくだされ…!