うろうろうろうろ
家に居ても学校に居ても落ち着かないから、また来ちゃいました。柊さんの学校。もとい、与っさんの通う学校に。
だってだって気になるんだもの!与っさんの好きな人って誰なのよーー!!

 
悪ノリ★リレー!第二十八話:「潜入捜査」

 
コソコソコソコソ。木の影壁の後ろと隠れながら他校の中を進んで行く。つーか、何で私ここに来ると毎回毎回こんなコソ泥チックなの。な、情けない・・・っ。
しかしやっぱり他校生が入り込むのはヤバイと思うわけで、こうして隠れながら行動しているわけだけど・・・。でもね、ここの制服は友達のお姉ちゃんの友達という人から借りてあるのだよ☆さすがにこれを柊さんに頼むのは、毎度私がお世話をかけまくりだからできなかったんだよね。うん。今回は私ひとりで頑張ってみよう!と思ったわけでして。これで堂々と校内を歩き回れるんだけど、さすがに私を知ってる人に会ってしまうとヤバイから隠れながらなのです。その筆頭は与っさんなんだけどね。見つかったら確実に怒られる、ってか見つかったら潜入捜査の意味が無くなっちゃうんだよ!与っさんの好きな人を探す捜査なんだから!
きっとね、好きな人の事ってずっと見ちゃうと思うのよ。それって他の人を見る時の目とどこか違うから、与っさんの視線の先を辿ればそれが解る筈!まずは与っさんを見つけて、後を追う。どこかで接触、もしくは見つめる先を追えばその『好きな人』とやらを探し当てれる。
よっし、頑張ろう!この時間だともうすぐ部活が始まるかな?グラウンドに行くか!
そしてまたコソコソと誰にも見つからないように、その辺を歩いている生徒たちの死角となる影を行く。
与っさん与っさーん与っさんはいずこ〜?
キョロキョロとグラウンドを見回してみるも、ちょろちょろと居るサッカー部らしき人たちの中にその姿は見つけられなかった。あれぇ?まだHRだったりするのかな。それとも部長会議とかそんなのに出てたり?
うーん、ちょっと待ってれば来るかな。でもな、待ってても部活が始まったらそれに集中しちゃうし・・・よし、校内に捜査の手を広げよう!
まずは与っさんの教室。見つかっちゃう確率が高かったりするけど、与っさんを見つける確率も高い。上手く隠れていられれば大丈夫、うん。
校内でコソコソとしているのは余計な不審感を与えてしまうので、ここは堂々と歩いて行く事にする。
あれ?そういや与っさんって何組?てか、そもそも3年の教室ってどこ?
・・・・・・・・・・・・・・・・計画性ゼロじゃん!うああん、私ってやっぱ馬鹿ー!?
それでもめげない!学年とクラスは教室に表札(?)があるからそれを見てけばある程度は解るんだし、いつかは辿り着ける!・・・筈。
ここまで来て諦めてなるものか、頑張れ私ーーー!
廊下の真ん中で気合いを入れていると、ポンと肩に手を置かれた。それにビシリと硬直する。
ななな何!?誰!?もしやここの学校の先生が私が他校生だと気付いてしまったとか言いますか!?
「アンタ何しとっと?って、ああ!?うちの制服なんぞ着とうとー!何で!?何で!?
っっんっだよ、昭栄かよ!脅かすんじゃねーや、こんバカチンがーーー!!
バッコーンと八つ当たり上等で昭栄をどついて憂さを晴らしてやった。
「なな何すっと!?声かけただけやんーー!暴力女ー、やっぱ俺アンタ嫌いっちゃーーー!」
うっせーバーカ!すっげビビったじゃん、いきなり声かけてくるとか心臓に悪いんじゃボケー!
 

ぎゃんぎゃんとひとしきり罵声の浴びせ合いをした後、ぶっすーと膨れた昭栄に与っさんがどこに居るかを聞いてみる事にする。
そうよね、ここで見つかったのが昭栄で良かった。聞けば与っさんの居場所がすぐに判るじゃんね。散々罵声を浴びせたけど、よく考えたら運が良い。
やー、怒鳴っちゃってごめんね☆ちょっと吃驚しちゃってさ。ところで与っさん何処に居るか知らない?
「ふんっ!アンタになんぞ教えへんとー」
ピキ。いや我慢我慢、ここは我慢だ。与っさんの居場所を聞くまでは耐えるのよ!
そんな意地悪言わないでさー、ね?あ、後で何か奢るよ、お詫びとお礼にさ、だから教えてよー。ね?ね?
「奢り・・・?何でもよかなん?」
うんうん、何でも良い・・・いやちょっと待って、あんまり高いのはナシだからね!
「じゃあじゃあ俺ラーメンがよか!」
ラーメン?んー、まぁそれくらいならいいか。OK!じゃあ今度ラーメン奢るから、与っさんはどこ?どこどこどこー!
「まだ部活行ってなかやし、俺も与っさんの居るとこ知らんとよ」
・・・・・・・・・・・・・・。馬鹿かお前ーーー!!知らんくせに奢らせるとか何言うとんじゃーーー!!
「ひぃ!?だだだって知らんもん!俺今から部活行くけん、一緒に来れば与っさんに会えるとよ、そんでよかやんー!」
だからそれじゃダメなのよ!与っさんに会わないまま後をつけて捜査するんだから!
「捜査?何、捜査って?」
コテンと首を傾げて聞いてくる昭栄に、私がここに来た理由を話してやる。こうなったらコイツにも協力させてやる!
 

「えええー!?与っさんの好きな人探し、もがっ!」
馬鹿!大きな声出すんじゃないの!いーい?私がお忍びで来てるって事忘れないでよね、見つかっちゃったらそこで全部パアになっちゃうんだから!
昭栄の口を手で押さえたままギロリと睨みつつ言うと、昭栄はコクコクと頷いた。
「そっかー。そんでアンタうちの制服なんぞ着とるんっちゃね」
そういう事。で、与っさんはどこ。
「だけん俺も知らんってー」
知らんじゃなくて、与っさんの教室とか教えなさいよ!ついでにアンタも手伝いなさい!
「ええ!?あかんって、俺部活あるし!」
ちょっと遅刻する程度構わないでしょ。
「あかん、あかんとよーー!カズさんにばり怒られるっちゃもん!俺昨日も朝もサボってしもうて・・・ばり怒られてどつかれてしもうとうし・・・」
しゅん、と俯いてめそめそと泣きそうな昭栄にキョトンとする。あー、そういや昭栄、昨日部活サボってうちに来たんだっけ。で、既にその事でカズさんにこってり怒られたのか。
あはは、ご愁傷様ー。
「笑い事と違うっちゃよ!カズさん怒るとばり怖かよー!」
ま、そりゃそうだろうね。うーん、でもここで昭栄を逃す気は私にも無い。よって、アンタは強制連行よ。
「なしてー!?嫌ったいーー!!」
あっ、コラ逃げんな!まだ与っさんの教室も教えてくれてないじゃんかーーー!
脱兎の如く逃げ出した昭栄を、慌てて私も追い掛ける。
逃げんな、待てコラーーー!!
「嫌ったいー!俺は部活行くったいーーー!!」
だ、から・・・っ、せめて、よ・・与っさんの教、きょう、し、つ・・くら・・・い・・・っ(バタリ)
走るの速いんじゃ、きさんーーー!!運動不足運動音痴な私に少しくらい気を遣えーーー!!
あーもう役に立たないな、アイツは!与っさんの教室くらい教えてってくれりゃいいじゃんか!ええい、くそったれーーー!!
「誰が『くそったれ』なんじゃ?」
・・・・・・・・・・・。こ〜のお声はもしや、いやもしかしなくても・・・私が間違える筈がない!
きゃあああん、カズさぁーーーんvvv
「ぎゃあ!?ちょ、おい、なし抱き着いてくっとーー!?」
お約束のようなカズさんの登場に、廊下にへたり込んだままだった体が反射的に動いてカズさんに抱き着いていた。やっだ、カズさんてば超細!腰ほっそい!女の私より細いなんて(いや元々私は太いけど!)ジェラシー!!
「アホか、離れろ!」
バコーン!
ぁ痛っ!カズさんひどーい。ここでカズさんに会えたっていう嬉しさの表現じゃないっすかー。
「せからしか!いきなり飛びついてくるお前が悪か!」
とか怒鳴りつつも顔真っ赤ですよ、カズさん。うぷぷぷ、かーわいいーーvv
 

とか喜んでいたのも一瞬の事。今、私は正座をさせられています。空いていた教室の中で、真正面から仁王立ちなカズさんに見据えられながら。
「ったく、お前は・・・。わざわざうちの制服調達してきてまで何しとうとや!」
・・・うう、だってだって〜。
「だってやなか!こげんとこ入り込んどうのバレたらどうすっとや」
だって気になったんですもん。
「気になった?何が?」
与っさんの好きな人。あ、カズさんなら知ってます?そうだよ、カズさんに聞けばよかったんだ、教えてーー!
「ちょ、待て、ヨシの好いとう奴って・・・え?ヨシば柊と・・・いや違うか、昼に柊が「違う」て言うとったんやったか、えーと・・・?」
何だか考え込んでしまったカズさんに首を傾げる。え、何?今与っさんは柊さんと、とか言った?え、え?与っさん柊さんの事が好きなの!?えええそうなのーー!?
ちょちょちょ、カズさん!?与っさんて柊さんの事好きなのー!?
「は?え、そうなんか?」
はい?今カズさんがそう言った・・・え、違うの?」
「いや、俺もよう知らんとや。昼にな、柊が話聞けて言うて俺を追い掛けてきよったばってん、後からヨシが来て連れてってしもうてな、話全部聞けんかったけん。そん時は柊ば「よっさんとは付き合ってないです!」て力いっぱい言うとったっちゃ」
はぁ、そうなんですか・・・。じゃあ違うのかぁ。んー、なーんかごちゃごちゃになっちゃってるなぁ。あーもう!何が何だかーー!
「叫ぶな、せからしか」
はいすいません黙ります。じゃあじゃあカズさん、今与っさんがどこに居るか知ってます?
「ヨシは俺も探しとうとこやけん。アイツHR終わったら教室飛び出してってしまいよってな」
そっか。どこ行ったんだろ、与っさん・・・
「一緒に探すか?」
え、いいんですか!?
「いいも何も、お前そげんうちの制服ば着とっても教師に見つかったら他校生やってバレてしまうかもしれんっちゃろ。そげん危なっかしかこつ俺が気が気じゃなかたい」
うああん、カズさん優しいーー!是非お願いします!
 

そう意気込んだのも束の間、ポケットからピピピと携帯が鳴り響いた。電話に出てみれば同じクラスの友人からで、
『朱里ーーー!!アンタどこでサボってんの!文化祭の準備やるって朝言っておいたでしょうがーーー!!』
ぎゃああ!ごごごめん、忘れてたーー!
『今すぐ戻ってこなかったら役員の仕事全部アンタに回すからね!』
「えええ!?それは嫌ぁあ!
『だったら今すぐ戻れ!!』
ははははいぃーーー!!・・・・・・はは、あはは;そんなワケで、学校戻ります、カズさん・・・
「・・・まぁ、仕方なかやな。怒られてこいや」
うああん、怒られるの嫌ぁーー!
「自業自得っちゃろ。ほれ、早ぅ行け」
ううう・・・じゃあじゃあカズさん、与っさんにそれとな〜く『好きな人』の事聞いといてくれません?
「あ?俺が!?」
だって私には与っさん教えてくれないし!明日またこうやって潜入したくても文化祭の準備今日サボっちゃったから来れなさそうなんだもん。私が動けない分、カズさんよろしく!
「ちょ、待て、おい!佐倉!?」
あ、くれぐれも今日私がここに来てたって事は与っさんにはご内密に!絶対言っちゃダメですよー。
「コラ、佐倉ーー!?」
カズさんの困惑する声に申し訳なく思いつつも、その場からスタコラと走り出す。あああもう何でこんな時に文化祭!タイミング悪いよ、ちっくしょうーーー!





柊さんsideが気になるのでその辺を書いてもらうべくこんな風に成り果てました。
ママン頑張って!助けに入りたいけどママンの男気を見たいので影から見守ります!(笑)