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校舎裏、中庭、倉庫……人の来ない場所は大抵見てまわった。それでもまだ見つからない後輩の姿に、嫌な汗がにじんでくる。 あと見ていないのは、校舎内くらいか。走り出そうとすると、ちょうど角でカズと鉢合わせた。 「ヨシ!お前どこ行っとったと?キャプテンがそげん何日も抜けるとか、俺もさすがに言い訳できんぞ。」 「それどころじゃなか!カズ、お前も探せ!」 「は?探すって?」 まだ事情を話していなかったことを思い出して、俺は慌てて昼の出来事を話し始めた。 |
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「なん、それ……ヨシ!!お前がついとってなしそげんこつになっとーや!?」 「悪かっ……やけん俺もずっと探して。ばってん見つからん」 胸倉を掴むカズの手が震えている。どんっと突き放すように解放されて、カズは俺に背中を向けた。 「ヨシ、お前は部活に行け。あいつは俺が見つける!」 駆け出した姿は、すぐに校舎内に消えていった。 |
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って、あんまりベタすぎてどうよこれ。というわけで呼び出しの紙in下駄箱に前代未聞のお返事を書きました。 『場所は屋上にしましょう。ぶっちゃけこの校舎、構造から言って体育館裏はサッカー部の部室のそばですから、落ち着かないと思います。それでは、屋上でお待ちしています。』 うん、完璧★ |
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「あんた何様のつもりなん!?バリ生意気!!ムカつく!!」 「こげん馬鹿にした手紙わざわざ下駄箱に入れ返すとか、ありえん!!」 現れたお姉さま方はものすごい形相で怒っていらっしゃいます。な、何で?私は一応この方々(おそらくカズさんかよっさんのファン)に配慮したつもりだったんだけど; 「前から思ってたっちゃけど、あんた好き勝手やりすぎったい!」 「高山君に近づいて功刀君にベタベタしたり!」 「今度は城光君にまで色目使って!!」 いやいやー、色目は使ってないでしょう。ていうか何年代のセンスですかそのセリフ。 思わず出た言葉に慌てて自分で口を覆う。しまった、ついくせで余計なことを……! 「……っ生意気ー!!後輩のくせに偉そうに!!」 あは、すいません口が滑って、じゃなくて、えーと。とりあえず落ち着いて話しません? 「自分が悪いっちゃろ!!そーいう生意気なとこがムカつくって言っとーと!!」 いやー気持ちはよくわかるんですけど、こういう性格なんで…… 「馬鹿にして、ちょぉ黙らんね!!」 どんっと肩を押されて、壁にすがるようによろよろと後ずさる。えぇえ、ちょっと何これ、完璧に怒らせた? 「もう二度とあの三人の周りばウロウロせんで。」 「優しかやけんって、弄ぶげなこつ、うちらが許さんけん!」 待ってください、私弄ぶとかしてないですから!友達で仲がいいってだけで誰とも…… 「そげんこつ信じられるわけなかでしょ!黙ってうなずかんね!!」 そ、そんなこと言われたって……昭栄は親友だしカズさんやよっさんは大好きで憧れの先輩で、もう二度と話さないとか考えられない。そんなの寂しいもん。 |
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むぅっと口を引き結んだ私に、先輩方の目がつり上がる。悪意や敵意がダイレクトに伝わってきて、正直かなり怖いけど、これだけは譲れない。 私は誰とも付き合ってないし、三人を弄んだこともないし、なのにどうしてそんなこと言われなきゃいけないんですか?私にはうなずく理由がありません。 「なっ……」 私がカズさんたちと仲良く話してるのがそんなに羨ましいなら、皆さんも話しかければいいじゃないですか。仰った通り、三人とも優しいから、きっと友達になってくれますよ? 「………………っ!!」 振り上げられた手。暴力なんかに屈してたまるか、とは思うものの、反射的にぎゅっと目を瞑る。 「お前らっ柊に何しとーと!?」 屋上のドアが開く大きな音がして、大きな声が先輩の動きを止めた。 |
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「高山君……!」 「柊大丈夫や!?怪我は!?」 駆け寄って来た昭栄の心配そうな眼差しに、ふるふると首を振った。誰にも言ってなかったのに、何で昭栄がここに……? 「俺が来たけんもう安心やけんね。柊ばイジめる奴は俺が許さん!」 そう言って、昭栄が私と先輩方の間に立つ。 「高山君、なしそん子ば庇うと!?高山君、散々利用されて、挙句の果てにはウザいとか言われとったのに」 「そげんひどか子に優しくするこつなかよ!」 そう、利用した云々はともかく、怒りに任せて「存在がウザい」とか言い放ったのは確かに私です……。あれ以来喋ってなかったし、謝ってもいないのに。 |
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「……そげんこつ関係なかよ。柊はいっつも俺に優しくしてくれるけん、俺も柊に優しくしてあげたか。柊が俺んこつ嫌いになっても、俺は柊んこつ大事に思っとー。」 |
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真面目な声で言う昭栄に、私も先輩方も、一瞬言葉を失った。 「う、うちらはっ!ただ高山君こつ思って……!」 「そんなら、柊と仲良くしてください。変な噂ば信じて怒るんじゃなくて。そん方が俺は嬉しかです。」 しばらくの沈黙の後、先輩方は屋上を去っていった。昭栄の背中越しにちらっと見えた涙目が良心をえぐる。もしかして昭栄のファンだったのかも。悪いことしちゃったなぁ……。 「柊?どげんしたと、大丈夫?」 急に力が抜けてぺたんと座り込んだ私に、振り向いた昭栄が目を丸くした。いやいや、別に大丈夫だよ。何があったわけでもないし、ちょっと気が抜けただけで。 うーん、と首を捻って、昭栄も私に向かい合うように座った。 「ばってん、怖かったでしょ?もう大丈夫やけんね。」 よしよしと頭をなでられて、大きな手だなぁなんて思ったら、何だかものすごく安心した。 |
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昭栄、来てくれてありがとね? 「んーん、よかよ。気付くの遅くてごめんな。」 あとね、ウザいとか言ってごめんね……ちょっとイライラしてて、言いすぎた。さっきの先輩たちが怒ってたのもね、私が昭栄にひどいこと言ったからだったんだよ。怒ったりしないでね? 「うん……わかった。柊は?もう俺んこつ怒ってなか?」 きゅっと手を握って首をかしげる昭栄は子犬みたいで、さっきまですごくかっこよかったのに、今は何だか可愛い。甘えん坊の息子みたいな、いつもの昭栄だ。 「仲直りする?」 うん、する……昭栄大好き。そう言って握り返したら、昭栄は嬉しそうに笑ってくれた。 「えへへ……俺も、柊んこつ大す」 ゲシッ!!!! |
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……………………………って、わぁあ昭栄!!大丈夫!? 「大丈夫やろ、そいつ不死身やけん。」 カズさん!?何でそんなふんぞり返って、いつからいたんですか、っていうか昭栄!!しっかりして!! 蹴り飛ばされて倒れたままの昭栄を揺さぶると、相当痛かったらしく涙目でむぎゅっと抱きついてくる。うえぇんと肩口に顔を埋める昭栄に、かわいそうになってよしよしと頭をなでた。 カズさん、何もしてないのにいきなり蹴るのはひどいですよ!昭栄だって人間なんだから、油断してたら痛いですよ!! 「いや普段も痛くないわけじゃなかよ?」 え、そうなの? 「そうっちゃよー!柊までひどかぁ」 昭栄がぷくっとふくれて見上げてくる。やだぁかーわいい、けど顔近っ!! 「……かげんに、せろっ!!!」 「どわっカズさん!?」 ドーンっと押されて、昭栄の体が離れる。その隙に、カズさんが私の腕をがしっと掴んだ。ぽかんとする私と昭栄を無視して、カズさんはずんずんと歩き出す。 カズさんカズさん、手!ものすごく引っ張られてるんですけども!? 「柊、今日は特別に練習近くで見せてやるけん。」 へっ何で!?ちょ、カズさん昭栄は…… 「いーからはよ行くぞ!!」 ぐいぐいと引きずられるまま、私はその日、なぜか問答無用でカズさんの鬼GKっぷりを眺めさせていただきました。 |
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あれだね、近くで見ると、すごい迫力なんだね……。 |
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しょえいとひーらぎのなんちゃってバカッポー編でした(笑)しょえ、かっこよくなったのでしょうか……??? |